29日の福岡2日目12R。1号艇で人気1本かぶりの川上剛が4着に敗れ、3連単は16万円台のビッグ配当になった。レース後、場内のファン相談室に数人のファンが詰めかけ、「もっと真面目に走るよう指導しろ」などと怒った。
川上は、3日目を終わってまだ白星なし。ただ、A1レーサーだからといっても、パワー不足ではなかなか見せ場はつくれないもの。ボートレースはエンジンだということを、ファンも忘れてはならない。川上も手を抜いているわけではないだろう。
とはいっても、川上も低調機なりに、それなりの工夫はしてほしい。
植木通彦は、平成5年の戸田・総理杯でSG初優勝したあと、毎年スランプと戦ってきた。1年のうち、半年近くはパワー不足に悩んできた。住之江の賞金王決定戦で、中道善博との死闘を制し、『艇王』と呼ばれるようになったあとは、悩みはもっと深刻だった。それでも、なんとか凌いで『艇王』の名に恥じない走りを続けてきた。
植木に限らず、トップレーサーと言われてきた選手たちは、大なり小なり、同じような悩みを抱え、耐え抜いてきた。
A1だからといって、エンジンが出ていなければどうしようもないだろう。そんな選手の気持ちもわかるし、怒りたくなるファンの心理も理解できる。ただ、一流選手を目指すなら、レースの中で努力の痕跡でもうかがい知れるような工夫をしてほしいものだ。
(S・N)